重尾の二っ岳峠のバス停留所より少し北側に「ぜんがめ」と言う所がある。昭和七年頃、下波佐見村まで貫通した、いわゆるぜんがめ越え林道の傍にある。
ぜんがめ、小ぜんがめと二つの古墳らしい盛り丘である。ここは太古から銭を入れたかめが埋めてあると言われているが、太古地元の人が掘ったらかめが二個出て水とともに水銀が入っていたと言う。多分自然水銀(丹)だったかも知れない。この地方が自然水銀の産地ではあるまいが、自然水銀は不老長寿の妙薬とさえ考えられ、貴重視され珍重なものであった。
この貴重な宝物を戦乱の時代敵軍に奪われないためにかくしたのか、また腐敗を防ぐため死体と共に入れた副葬品だったかも知れない。
広田小学校創立百年記念誌より